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EBITDA



EBITDAとは


EBITDAとは

キャッシュの流出入のみで計算した利益

EBITDAは「イービットディーエー」もしくは「イービットダー」と読みます。売上高から売上原価、販売費・一般管理費を差し引くと営業利益が求められますが、営業利益では有形固定資産(生産設備など)の減価償却費や無形固定資産(ソフトウェアなど)の償却費も費用として差し引かれています。こうした費用は実際の現金の支出は伴わないノンキャッシュ費用になります。営業利益からノンキャッシュ費用分を戻しいれ、キャッシュの流出入のみで計算した利益をキャッシュ利益といいます。EBITDAとはこのキャッシュ利益のことです。

EBITDAと営業利益


EBITDAの意味と計算式

EBITDAはEarnings before interest, taxes, depreciation and amortizationの略です。金利(interest)、税(taxes)、有形固定資産の減価償却費(depreciation)、無形固定資産の償却費(amortization)を引く前の利益(Earnings)という意味になります。

EBITDAを求めるのは簡単です。営業利益には法人税や支払利息はまだ引かれていないので足し戻す必要が有りません。償却費分だけを営業利益に足し戻すだけでEBITDAは求められます。

EBITDA = 営業利益 + 償却費


EBITDAを実際に計算してみる

減価償却費などは連結ベースの場合は有価証券報告書のキャッシュフロー計算書に、単体ベースの場合は有形固定資産等明細票に記載されています。以下はトヨタ自動車の連結キャッシュフロー計算書です。

トヨタ自動車の連結キャッシュフロー計算書

2018年度のトヨタ自動車の営業利益は2兆3998億円です。連結キャッシュフローから減価償却費は1兆7340億円だとわかるので、営業利益と合わせてトヨタ自動車のEBITDAは4兆1338億円となります。





EBITDAの意義

営業利益は減価償却費の額に左右される

EBITDAは営業利益と同様本業の収益性を見る指標です。EBITDAは設備投資額の大きな企業でよく使われます。設備投資が巨大になると有形固定資産の減価償却費も大きくなり、その結果営業利益は小さくなります。逆に設備投資がすくないと有形固定資産の減価償却費も少なくなり、結果営業利益は大きくなります。

減価償却費は毎期一定して生じるとは限らない

設備投資の影響を受ける営業利益ですが、設備投資自体はその性格上毎年一定額生じるというよりも、ある程度ブレが生じるものです。ある期は設備投資額が増えてもある期には設備投資の額は抑えられるということもよくあります。営業利益とは異なり安定してその額が推移していくとは限らないのです。

EBITDAは設備投資計画に左右されずに企業の収益性を見る

営業利益はその経年の推移を見て企業の本業の収益が継続して成長しているかどうかを判断します。しかしながら本業の収益性を経年比較して安定して成長しているかどうかを見る場合に、設備投資の額が大きい企業では設備投資によるブレの影響が大きいと正確な経年評価がしづらくなってしまいます。

大手通信会社のNTTの業績を例に見ていきますが、設備投資の額は年々増えているわけでなく、増えたり減ったりとばらつきがあります。それに伴い減価償却費も減少傾向にあります。

NTTの設備投資と減価償却費

減価償却費は減少しているので、その結果以下のグラフのように、NTTの営業利益は減価償却費という費用が減少する分年々増加しています。営業利益の経年推移だけを見た場合、このように安定して収益は拡大し、成長しているように見えます。

NTTの営業利益

しかしながら営業利益に減価償却費をプラスして減価償却費の影響を排除して、本業での収益力を見るEBITDAの経年推移をみると、ここ数年であまり変化がないことがわかります。

NTTのEBITDA

このように設備投資額が巨額になる企業では、設備投資戦略により減価償却費の額も変わり、それにより営業利益も大きく左右されるので、本業の収益が安定して成長しているかどうかを経年評価するには適していないわけです。そこで営業利益に変わって減価償却費等の影響を排除したEBITDAが使われるわけです。設備投資額が巨大な企業といえば電力や鉄道、航空会社や通信会社などがその代表例です。

上記では有形固定資産に絞って議論していますが無形固定資産も同様です。無形固定資産であるソフトウェアや営業権(企業買収)も年度間隔差が比較的大きい項目であるため、この影響を排除したEBITDAを使って収益が安定して成長しているかを経年評価します。

「ブレを排除してより正確な経年評価を」というのがEBITDAの意義であるといえるでしょう。



EBITDAのメリット

投資や借入金、税の影響を排除して比較できる

EBITDAは償却費等を引く前の利益なので、投資の償却負担が重いため利益が少ない企業にとっては有利な指標だといえます。このため企業によっては積極的にEBITDAを公開して投資家にアピールしているところも有ります。またEBITDAは金利を引く前の利益なので、資金調達を借入金に頼っている企業と自己資本(株式)等で補っている企業を同列に比較することも出来ます。このほかEBITDAは償却費(定率法や定額法)や税等の影響を受けない利益なので各国の会計ルールや税制に左右されにくいため、国際企業間で比較検討する際にも有用です。

EBITDAで投資の償却負担を排除して比較

それでは実際に大手自動車メーカーの日産と本田を例に見ていくことにします。どちらも2018年度のデータですが、営業利益の金額でみると日産は5747億円なのに対し、本田は8335億円と2500億円以上の開きがあります。しかしながら両社のEBITDAをみると日産は1兆4639億円なのに対し、本田は1兆5466億円と両社にそれほど差はなくなります。

EBITDAで減価償却を排除した本業の収益性を見た場合、両社にはそれほど差がないことがわかります。本田の営業利益が大きいのは減価償却費の負担が日産よりも少ないことが大きな要因となっています。逆に言えば日産は設備投資の減価償却費が負担となり本田よりも営業利益が少なくなっているわけです。

日産とホンダの営業利益とEBITDA




EBITDAの使い方

経年比較や他社との比較で有効

営業利益は本業の収益と費用を足し引きして計算した利益で、売上高に対する実質的な収益だといえますが、EBITDAの場合は最大の費用である減価償却費が控除されていません。そのため営業利益に比べて金額は大きな数値となります。EBITDAは自社の過去の実績との経年分析や同業他社との比較では有効ですが、その金額の水準自体は最大の費用である減価償却費が一切入っていないということは踏まえたうえで判断する必要があるといえるでしょう。



EBITDAマージンとは

規模の異なる会社間での比較

EBITDAは自社の過去の分析や売上や利益の規模が近い企業同士での比較なら使いやす指標ですが、売上や利益の規模が異なる企業間での比較ではあまり有効ではありません。そんな時は売上高とEBITDAの比率であるEBITDAマージンが便利です。比率なので売上や利益の規模が異なる企業同士でもその収益性を比較することができます。EBITDAマージンを求める式は以下の通りです。EBITDAマージンについてはEBITDAマージンとはでも詳しく解説しています。

EBITDAマージンの計算式



フリーキャッシュフローとの違い

EBITDAは企業存続に不可欠な費用は考慮していない

EBITDAは本業の収益性を見る指標ですが、フリーキャッシュフローとは違って税金や設備投資、運転資本など企業が永続的に維持・成長していくために必要となるキャッシュの費消は考慮に入れられていません。継続的に成長していくためには設備投資や、機動的な運転資本の確保が必要ですし、収益を上げれば税金も払わなければなりません。EBITDAではこのように企業が存続していくのに不可欠なキャッシュの費消が考慮に入れられていないということも踏まえて数値の水準を評価する必要があるといえます。

EBITDAとフリーキャッシュフローの違い

売上から営業利益、営業利益からEBITDA、そしてEBITDAからフリーキャッシュフローにいたるまでの計算の過程を図にすると以下のようになります。フリーキャッシュフローについてはフリーキャッシュフロー(FCF)の意味と計算方法についてで詳しく解説しています。






※参考資料


経営安全率(安全余裕率)とは || EBITDAマージンとは
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最終更新日 2018/05/30
公開日 2015/01/05




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