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総資本回転率(回転期間)とは



総資本回転率(回転期間)とは


はじめに

総資本回転率という言葉を初めて耳にする方も多いかと思いますが、総資本回転率とはいったいどのようなものなのでしょうか。その意味や計算の仕方について解説していきます。さらに総資本回転期間とはなんなのか、なぜ総資本を使うのか、総資本回転率の目安や、総資本回転率、回転期間の業界平均、総資本回転率を改善する方法なども詳しく見ていきます。






総資本回転率とは

資本の回転とは

まず会社は事業を行うために資金を調達します。この資金で設備などの固定資産を購入し、さらに原材料を調達して商品を製造します。そしてその商品を売って売上債権をあげ、売上債権を回収して現金(資金)を獲得します。このような流れが資本の回転です。

資本の回転率が高くなる、すなわち資本が回る回数が多くなればなるほど少ない資本で大きな売上を上げることが出来ます。それが効率的な資本の運営へとつながっていきます。詳しくは以下の総資本回転期間のところで解説します。総資本回転率はこの総資本の運用効率を見る指標として使われます。

資本の回転


総資本回転率

総資本回転率では分子に売上高を、分母に総資本を当てはめて計算します。売上高が総資本と同じなら1回転、総資本の2倍なら2回転となり、少ない資本で多くの売上高を上げればそれだけ回転率も高くなります。

総資本回転率の計算式



総資本回転期間とは?

総資本回転期間は総資本の回収にかかる日数

総資本回転期間とは1年(365日)を総資本回転率で割ったものです。計算式は以下の通りです。

総資本回転期間の計算式

総資本回転期間は資本が1回転するのに何日を要するかを表しており、資本が回収されるのに何日かかるかを表しています。総資本回転期間は総資本回転率が高ければ高いほど短くなります。すなわち総資本回転率が高いほど資本の回収のための期間も短くなるわけです。


総資本回転期間は(回転率)と資本の効率化について

ではここで資本の効率化について見ていきます。資本の効率化で見るのはその資本でどれだけ多くの売上高を上げ、利益を計上したかです。総資本回転率では総資本でどれだけの売上げを上げたのかを見ることができます。たくさんの売上げを上げれば総資本回転率は高くなり、より効率的に資本を運用できていることになります。

総資本回転期間は資本の回収までの日数を表しており、回転期間が短ければ短いほどさらにその資本を使って次の売上げにつなげることができます。その結果より多くの売上高を上げることができます。総資本回転期間も短ければ短いほど資本を効率的に使って大きな売上高につなげていることになります。

総資本回転期間と資本の効率性の関係



総資産を用いる理由

総資本回転率では総資産と売上高を用いて数値を求めます。総資産は投下された資本の運用形態であり、その額は総資本と同額なのでどちらを用いてもかまわないのですが、実務的には総資産が使われることが多いようです。
総資産と総資本の関係



資産の肥満度を推し量る

資本の運用形態は資金から始まり、固定資産、棚卸資産(原材料、仕掛品、商品など)、売上債権と言う具合にその姿を変え、最後には資金へと戻ります。これを資本の回転と言います。企業はこれを繰り返すことで日々の営業を行っています。回転して循環することで利益を生み出しているのですが、この過程において一部滞留が生じるとどうなるでしょう。その資産は循環することなくちょうど脂肪のようにその場にとどまってしまいます。こうした資産は利益を生み出しませんので不良資産とみなされます。

総資本回転率が低い、すなわち売上高と比較した時の総資産の比率が高い場合は総資産に不良資産が含まれている可能性があります。このように総資本回転率を見ることで総資産に占める不良資産の存在、要は肥満度を推し量ることができるのです。



総資本回転率(回転期間)の目安と業界平均

総資本回転率の目安は1回

総資本回転率は高いほどいいわけですが、目標値としては1回が目安だといわれています。1回を達成している企業はかなり効率的に資本を運用できているといえるでしょう。全業種平均は0.8回ほどで商業では比較的高く、多額の設備投資が必要な電力・鉄鋼などの重工業では低いなど業種によってばらつきが見られます。同業種との比較が有効でしょう。


総資本回転率の業界平均

2016年度の総資本回転率の全産業平均は0.89回となっています。各産業を見てみると、化学や鉄鋼などやはり巨額の設備投資が必要な業界は0.7回と総資本回転率が低くなっています。中でも電気業は発電設備や送電網など巨額の資産を抱えており、総資本回転率も0.47回と低くなっています。

一方で人件費の割合が高い小売業や飲食業では総資本回転率も1.73回、1.47回と他の業界よりも高い数値となっています。

総資本回転率の業界平均(2016年)


総資本回転期間の業界平均

次に総資本回転率を総資本回転期間にしてみてみましょう。回転日数では資本を回収するまで何日かかるかを表しているわけですが、化学や鉄鋼、特に電気業の長さが目立ちます。こうした業種は資本の回収までに時間がかかるので、その分多くの資本を必要とします。

一方で小売りや飲食は総資本回転期間も短く、資本の回収期間の短さが際立っています。こうした業界は資本を効率的に活用して事業を行っていることがわかります。このように業種による平均値の差が大きいので、総資本回転率や回転期間を使う場合は同業種間で比較するといいでしょう。

総資本回転期間の業界平均(2016年)



総資本回転率、回転期間を使って企業分析

3社の総資本回転率は?

それでは実際に総資本回転率、回転期間を使って企業分析をしてみることにしましょう。今回は通信会社のNTTとKDDI、ソフトバンクの3社の総資本回転率、回転期間を見てみることにします。数値は2018年3月度のものです。

3社の中ではauブランドを展開するKDDIが最も総資本回転率が高い結果となりました。KDDIは3社の中では1番資本を効率的に運用しているといえます。一方最も低いのがソフトバンクで0.29回とかなり低い数値となっています。電力業界などは設備が巨額になるため業界平均の総資本回転率も0.47と他の業界と比較して特に低い数値ですが、それよりも下回る数値となっています。

NTTとKDDIとソフトバンクの総資本回転率


3社の総資本回転期間は?

次に3社の総資本回転期間を見てみることにします。やはりこちらも同様にソフトバンクの総資本回転期間の長さが目立ちます。ソフトバンクは巨額なM&Aを繰り返し成長してきた企業で、その手法は近年でも変わりません。そのため有利子負債の金額が非常に大きくなっており、それが総資本を巨額にする要因となり、結果として総資本回転率、回転期間の数値の悪化につながっています。

NTTとKDDIとソフトバンクの総資本回転期間



総資本回転率を改善するには

総資本回転率が低いというのは、その分効率的に資本を運用できていないと言う事を意味します。そのため改善が求められます。改善策としては分子である売上高を上げるか、分母である総資本をスリム化するかのどちらか、もしくは両方となります。なお総資本をスリム化する場合は、負債を圧縮するか、総資本ではなく総資産で考え、総資産を現金預金、棚卸資産、売上債権、固定資産などに分け、それぞれについて中身を検証し不良資産の処分を進めるといいでしょう。


(不良資産の処分の図は不良資産を全額損失処理した場合)



総資本回転率と総資本利益率

資本効率を見る指標である総資本利益率は売上高利益率と総資本回転率に分解することが出来ます。 それぞれの値を向上させる施策をとれば総資本利益率も改善します。例えば仮に売上高利益率を改善できない場合でも、総資本回転率を上げることで、総資本利益率を向上させることが出来るのです。



まとめ

総資本回転率とは資本がいくら回転したかを見る指標です。総資本回転期間とは資本が1回転するのに何日必要かを見る指標です。どちらも資本を効率的に運用しているかどうかを判断する目安となります。

総資本回転率が高くて総資本回転期間が短い企業ほど、現金回収までの期間が短く、少ない資本で企業運営を行っていくことができ、より効率的に資本を運用しているといえます。総資本回転率、総資本回転期間の数値が悪い場合は、売上高を高める施策や、総資本のスリム化などの施策が必要となります。




※参考資料
経営分析の基本
これならできる!経営分析
経営分析入門―ビジネス・ゼミナール


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最終更新日 2018/08/13
公開日 2007/02/17




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