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売上高営業利益率



売上高営業利益率とは

売上高営業利益率の計算式

売上高営業利益率の計算式

売上総利益は売上から売上原価を引いたもので、さらにそこから販売費、一般管理費を引くと営業利益が求められます。営業利益は売上原価や販売費、一般管理費を引いたものなので、生産、販売、管理にまたがる本業の収益力を反映したものだといえます。売上高と営業利益の比率である売上高営業利益率も企業の本来の収益力を見る指標として使われます。売上高営業利益率には資本調達コストや税金などの影響は反映されません。

損益計算書

資本調達コストとは

企業を運営していくためにはまずは資本を調達する必要がありますが、調達手段には借入金などの他人資本と株式発行・増資により自己資本があります。借入金の場合は金利を支払う必要があり、株式の場合は配当支払い義務が発生します。このような金利や配当を資本調達コストといいます。詳しくはWACC(加重平均資本コスト)とはで解説しています。

金利は主に営業外費用で、税金は税引前当期純利益から引かれるので、営業利益の段階ではどちらも引かれていません。このため売上高営業利益率では資本調達コストや税金などが影響を受けないわけです。これにより生産、販売、管理にまたがる本来の企業の稼ぐ力を見ることができます。




売上高総利益率との比較

販売費一般管理費の割合がわかる

売上高総利益率と売上高営業利益率を比較することで費用に占める販売費一般管理費の割合がどの程度なのかを見ることができ、販売政策の良否や管理政策の効率性を判断する材料として使えます。なお物販業とは違いサービス業や金融業では売上原価と販売費一般管理費が一緒くたに営業費用として示されるので、売上総利益にあたるものがありません。したがって売上高総利益率も求められないため、売上高総利益率と売上高営業利益率との比較をすることも出来ないので注意が必要です。

実際に売上高総利益率と比較してみる

それでは実際にトヨタ自動車を例に売上高総利益率と売上高営業利益率比較してみることにします。ここでは単体の数値と連結の数値をみていきます。まずトヨタの2016年度の単体の売上高総利益率と売上高営業利益率の差は10.4%で連結の差は11.5%です。このことからトヨタは単体よりも連結のほうが販売費・一般管理費の費用の割合が高いことがわかります。子会社やグループ会社の方が若干販管費にかけるコストが高いようです。

連結単体
売上高総利益率23.620.4
売上高営業利益率12.110.0




売上高販売費一般管理費比率とは

売上高販売費一般管理費比率の計算式

企業の販売政策や管理政策についてみるなら販売費・一般管理費と売上の比率である売上高販売費一般管理費比率(売上高販管費率)を使ってもいいです。さらに販売費一般管理費の内訳である人件費や賃借料など細かな項目で特に比重の大きいものなどと売上高との比率を見るのも有効です。詳しくは売上高販管費率で解説しています。
販売費一般管理費一例
人件費、広告宣伝量、販売手数料、見本費、福利厚生費、交際費、交通費、消耗品費、賃借料




商品力と販管費との関係

商品力と販管費が売り上げを左右する

魅力のある商品であれば売上高も上がりますが、魅力のない商品だと当然売上げは減少します。例えば高性能でデザイン性の高い商品であれば、その他の商品よりも高くても消費者は購入してくれますが、性能が落ち、デザインも悪い商品では値引きをしてもなかなか売れません。

商品力と販管費との関係ですが、もし仮に売れる商品であるなら商品の宣伝や営業などにそれほど費用をかけなくても売上げは上がります。一方商品力にそれほど差がない場合は営業力の差が商品の売り上げを大きく左右します。営業力については売上高総利益率と売上高営業利益率との比較や、売上高販管費率などがおおきな判断材料となります。

実際に商品力と販管費との例を見てみる

それでは実際にトヨタとホンダを例に商品力と販管費について見て行くことにします。まずトヨタとホンダの2016年度の売上高総利益率と売上高営業利益率は以下のようになっています。売上高総利益率ではホンダの方が高い数値を示しています。これはホンダの方がコスト競争力があり、売上原価の比率がトヨタよりも低いことが要因として考えられます。

しかしながら売上高営業利益率になるとホンダはトヨタに大きな差をつけられています。これは商品力が高いトヨタは本田ほど販管費をかけなくても商品が売れるという風に考えることもできます。またより効率的に販売戦略、営業戦略をたてていて少ないコストでもより高い成果を上げているとも考えられます。

トヨタ本田
売上高総利益率20.422.8
売上高営業利益率10.03.4




売上高営業利益率の見方

同業他社や自社の過去の実績と

売上高営業利益率は業種ごとに差があり、また同業種でも販売、管理政策の違いにより差が出ます。したがって利用するときはまずは同じ業種内で比較して、つぎに自社の過去の実績と比較して見るといいでしょう。

各業界の売上高営業利益率を分析

そこでまずは各業界の売上高営業利益率の平均について見て行くことにします。各業界の平均については財務省発表の法人企業統計調査で毎年発表されています。 売上高営業利益率は非製造業(3.8)よりも製造業(4.2)の方がやや高いです。各業界で見てみると非製造業では不動産や情報通信、電気業、運輸業、宿泊業などが売上高営業利益率が高いです。こうした業種は家賃や通信料、電気代、運賃、宿泊費などの手数料的な金額が売上となっている業種では、売上がそれほど大きく膨らまず、売上と営業利益とのさもそれほど広がりにくい特徴があります。製造業では化学や自動車などが売上高営業利益率が比較的高い業種です。

営業利益との差と売上高営業利益率との関係

卸売業や小売業、飲食業や鉄鋼、繊維などは売上高営業利益率が1〜2%台とかなり低い数値です。鉄鋼や繊維などは国際的な価格競争も激しく、原料価格の高騰などもあるため、利益をなかなか稼ぎにくい業種となっています。また小売りや卸売業は取扱高がイコールで売上高となるため、売上高が大きくなりがちで、またそこから多額の仕入原価が引かれるので売上と営業利益の差が広がりがちです。このことがこうした業種の売上高営業利益率が低めである理由の構造的要因であるといえます。売上高営業利益率は業界の特長によっても左右されるのです。



売上高営業利益率の理想は

売上高営業利益率は実際どの程度が望ましいのでしょうか。国内企業においては特に製造業において売上高営業利益率の10%の達成を目標に掲げることがよく見られます。実際上の図で見ても10%を超えているのは非製造業の不動産業ぐらいです。業種による特徴もありますが、国内では10%を超えれば高利益率企業だと評価される可能性が高いといえます。




売上高営業利益率の近年の推移は

全産業や製造業、非製造業の近年の売上高営業利益率の推移も財務省発表の法人企業統計調査で調べることができます。直接売上高営業利益率の数値は掲載されてはいませんが、売上高と営業利益の数値が掲載されているので、そこから計算して売上高営業利益率の数値を求めることができます。近年は全産業で緩やかに改善傾向にあるようです。特に製造業の改善が目立ちます。

産業別売上高営業利益率の推移
2012201320142015
全産業(金融・保険業を除く)2.93.43.63.9
製造業2.94.04.14.2
非製造業2.93.23.43.8




※参考資料
これならできる!経営分析
経営分析の基本
経営分析の考え方・すすめ方
戦略思考で読み解く経営分析入門
ビジネス・ゼミナール経営分析入門
財務省・法人企業統計調査


※実践編


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最終更新日 2017/07/27
公開日 2006/07/08




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