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有価証券報告書から企業の総人件費を求めれるのか




企業分析で必要となる人件費総額

企業分析をするうえでその企業の人件費の総額が必要となる場面は少なくありません。例えば付加価値の計算には人件費の総額が必要です。また労働分配率や1人当たりの人件費の計算でも人件費の総額は必要となります。以下に人件費の総額が必要となる企業分析の指標の一例をあげます。

付加価値労働分配率1人当たり人件費



人件費とは何か

人件費を構成する項目にはどのようなものがあるのでしょうか。以下に代表的なものを上げていきます。

・給与手当
・賞与(引当金繰入)
・福利厚生費(法定福利費含む)
・退職給付費用(引当金繰入)
・役員報酬
・役員退職慰労引当金繰入
・役員賞与



人件費を把握するには

それではこうした項目が有価証券報告書や損益計算書のどこに記載されているのでしょうか。それにはまず人件費の種類について知っておく必要があります。人件費は製造原価に含まれるものと、販売費・一般管理費に含まれるものに大きく分かれます。損益計算書上では製造原価(売上原価)と販売費・一般管理費は大雑把に一項目として掲載されていることが多く、そこからその内訳でどの程度の人件費が含まれているのかを把握するのは難しくなっています。

決算には単独決算と連結決算があり、単独決算であれば添付されている製造原価報告書から人件費がどの程度含まれているのかを知ることができます。また販売費・一般管理費については、その内訳が有価証券報告書の注意事項などで記載されていることも多く、そこから人件費の金額を把握することは可能です。

しかしながらどちらも単独決算に限った数字です。連結決算では製造原価報告書の義務がないため有価証券報告書にも添付されておらず、また販売費・一般管理費の内訳も記載されていないことが多いです。このため製造原価からも販売費・一般管理費からもその中の人件費の金額を把握することはできないのです。

結果連結決算の人件費を把握することは困難だと現状では言わざるを得ません。企業のIR部門などに直接電話などで聞いてみるという方法もありますが、教えてくれる保証はありません。



単独決算でも人件費の把握が困難に

平成26年度からの有価証券報告書では「連結財務諸表上セグメント情報を注記している場合」では単独財務諸表でも製造原価報告書の添付を省略することができるようになりました。セグメント情報とは事業単位や地域単位で区分(セグメント)し、その区分ごとに売上高や利益、資産などの経営データを記載するものです。こうなると単独決算でも製造原価報告書が確認できなくなり、製造原価分の人件費の把握ができなくなってしまいます。

昨今の業績開示の流れは人件費の総額やその内訳を公開することにかなり後ろ向き、もしくはあまり重視していないようにも見えます。人件費の総額や内訳も外部から容易に把握できれば、それは企業の実態を正確に判断するうえで非常に重要なデータとなります。今後の情報開示の流れが人件費の公開へと進むことを期待したいところです。






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公開日 2016/08/01




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