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労働分配率




労働分配率とは

労働分配率 = 人件費× 100
粗付加価値額
労働分配率とは付加価値に占める人件費の割合を示すものです。粗付加価値額については付加価値の所で解説しています。



労働分配率の高い企業は要注意

付加価値とは企業が新たに生み出した価値を表すもので、人件費、賃借料、租税公課、支払特許料、減価償却費、営業利益を合わせて計算します。この付加価値を粗付加価値ともいい、このうち減価償却費を含まないものを純付加価値といいます。

付加価値の中で人件費は最も大きな割合を占めますが、その人件費が付加価値の大半を占め、利益がほとんどでないとなると企業運営においては問題です。それなら一定の割合で利益を確保するために、付加価値額が決まった後で正しい割合で付加価値を人件費と利益に分ければいいと考える人もいるかもしれません。しかしながら実際には人件費には世間的な相場があるので付加価値額に合わせておいそれと下げるわけにもいきません。ようするに付加価値額が半分だからといって、人件費を減らして労働分配率を維持するわけにはいかないということです。

このため付加価値の少ない企業は人件費をおいそれと減らすことはできないので労働分配率は高くなる傾向にあります。これは付加価値が少ない企業が世間的な相場を鑑みて人件費を確保すれば、結果として付加価値に占める人件費の割合が高くなるからです。


※ 便宜的に人件費は同じとする。

人件費の占める割合が高いために労働分配率が高くなってしまっている企業は、十分な付加価値を生み出せていない可能性が高いといえます。もし高収益企業であれば付加価値を十分に生み出せているので十分な人件費を確保しても、それでも労働分配率を低く抑えることができます。

また付加価値の額が少ないために人件費の比率が高くなると、利益を確保することも難しくなるだけでなく、賃借料や減価償却費など企業を維持していくために必要となる経費も付加価値で賄えなくなってしまいます。このように労働分配率を見ることは企業がしっかりと付加価値を生み出せているかどうかを見る目安ともなるわけです。



利益拡大サイクルにつなげることが大切

付加価値に占める人件費の割合である労働分配率の上昇をチェックすることも必要ではありますが、労働分配率を高める要因となる人件費のUPは従業員の士気を高める刺激策でもあります。重要なことは従業員の士気を高めて従業員一人当たりの付加価値額である労働生産性を上げ、企業の利益を増やすことです。企業の利益が増えれば労働分配率も低下します。このサイクルに持ち込むことが大切なのです。もちろん人件費をあげるだけで企業の利益が増えるわけではなく、設備や効率といった要素も同時に整えていくことも必要だといえます。




労働分配率の見方

労働分配率は同業他社や過去の実績との比較が有効です。付加価値に占める人件費の割合は約半分が目安で、40〜60%の間であれば問題ありません。飲食業を除けば60%を超えてくると、十分な利益を出せていない場合が多いようです。



法人企業全体の労働分配率を知りたいなら、財務省が毎年発表している法人企業統計調査をみるといいでしょう。法人企業統計調査では法人企業の付加価値額の合計と、人件費や支払利息、賃借料、租税公課、営業純益の金額、そしてその構成比率を掲載しています。付加価値に占める人件費の構成比率とはすなわち労働分配率のことなので、こちらを見れば労働分配率を見ることができます。調査報告はこちらのリンク先の年次別調査というところに掲載されています。近年の法人企業の労働分配率の数値は以下のように推移しています。

年度労働分配率
201468.8%
201369.5%
201272.3%
201172.6%
201071.6%

近年の法人企業の労働分配率は70%台とあまりいい数字ではありませんが、景気回復を受けて徐々に改善傾向にあるようです。



労働分配率を分解して分析

労働分配率の分子と分母を売上高や従業員数などで割り2つの指数を導き出します。それぞれの指数をどのように改善すればその計算結果である元の指数である労働分配率の改善につながるかを考えます。その改善策というのが労働分配率を改善するひとつの方法になります。

労働分配率の分子と分母を売上高で割る
以下の式では売上高人件費を小さくし、売上高付加価値率を大きくすると労働分配率は低下します。


労働分配率の分子と分母を従業員数で割る
以下の式では1人当たり人件費を小さくし、労働生産性を大きくすると労働分配率は低下します。


ちなみに一人当たりの人件費と労働生産性から労働分配率を求める式は利益拡大サイクルともかかわっています。一人当たりの人件費を増やしたとしてもそれにより社員の士気が上がり、付加価値の創出額が増えれば労働生産性は上昇します。このとき一人当たりの人件費の伸び率よりも労働生産性の伸び率の方が高くなれば労働分配率は低下します。ようは人件費をあげたとしてもそれ以上に付加価値が伸びて労働生産性が上昇すれば労働分配率は低下するのです。

企業は付加価値増により労働生産性が向上し、その労働生産性の伸び率の範囲内で一人当たりの人件費もアップさせることで労働分配率の数字を上昇させることなく、社員の給料も上げることができ、さらにそれにより士気が上がり、付加価値が増えていくという好循環すなわち上で述べた利益拡大サイクルにもっていくことができるのです。多くの企業ではこのような効果を期待して業績連動型の給与が採用されています。



付加価値の配分

付加価値は経常利益、人件費、金融費用、賃借料、租税公課、減価償却費からなり、人件費は労働分配分、租税公課は税金分配分にそれ以外は資本分配分に大別されます。税金は税率に応じて外部により決定されるので除きますが、付加価値は結局のところ労働と資本にどのように配分するかが重要となります。労働分配率は付加価値の労働への配分をみる指標として重要なのです。




※参考資料
経営分析の基本
経営分析の考え方・すすめ方
これならできる!経営分析
新版経営分析の基本がハッキリわかる本


売上高付加価値率 || 有価証券報告書から企業の総人件費を求めれるのか
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最終更新日 2016/07/01
公開日 2010/11/15




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