使用するのは単体の損益計算書と製造原価計算書です。連結では売上原価の内訳を記載した製造原価計算書の開示義務がないので開示されていないことが多いため、今回は単体での数字を使います。以下の表では変動費に分類したものをその横に○を記載して表示しています。
2013年花王(百万円)
売上高
売上原価
原材料費
労務費
経費
販売費及び一般管理費
販売手数料
荷造及び発送費
広告宣伝費
販売促進費
給料手当及び賞与
減価償却費
その他費用
営業外損益
経常利益
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768,565
341,696
274,653
19,037
48.006
333,652
124,855
18,922
52,573
20,480
20,933
25,194
70,695
18,433
111,650
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○
○ ○ ○ ○
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まず総費用の金額を求めます。総費用の金額は売上高から経常利益を引いた金額で656,915百万円です。この総費用から変動費の総額491,483百万円を引くと固定費である165,432百万円が導き出されます。
売上高 768,565
総費用 656,915
変動費 491,483
固定費 165,432
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変動費と固定費、売上高がわかれば以下の式で損益分岐点(BEP)がわかります。

458,260百万円が損益分岐点売上高になります。実際の売上高768,565百万円から損益分岐点売上高を引いた金額である310,305百万円に限界利益率をかけると経常利益である112,023百万円を求めることが出来ます。限界利益とは売上高から変動費を引いた金額で、利益と固定費が含まれています。損益分岐点の時点ですでに固定費は回収されているのでそこから先の売上高から変動費を引いた限界利益はすべて利益となります。詳しくは以下の限界利益の説明のページをご覧ください。
限界利益
112.023百万円という数字は実際の経常利益である111,650百万円とは多少の誤差は有りますが、これは外部分析では正確に変動費と固定費を分類できないために生じるものです。誤差といってもこの程度であれば十分実用的な範囲であるといえるでしょう。今回実際に損益分岐点を計算して見て、正確な変動費と固定費の分類が難しい点や、製造原価計算書が連結決算書では開示義務がない点など難点もいろいろと見えましたが、一方で単体での決算書においては比較的精度の高い損益分岐点を求めることも出来るということもわかりました。
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