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PBRで分析




株価判断の目安の1つ

今回はPBRを使って企業分析を行っていきます。PBRとは株価を一株あたりの株主資本で割って求めるものです。株主資本とは会社が解散したときに株主に分配される資本のことで、会社の解散価値とも言います。これを株数で割って1株あたりにしたものと株価を比較し、株価のほうが高ければ解散価値よりも高いので割高だと判断し、株価のほうが低ければ解散価値よりも安いので割安だと判断します。

しかしこれはあくまで基本であって、将来利益を積み増し株主資本が増加すると予想される場合は、それを見越して株価が高くなり、結果現在の株主資本よりも割高に見える場合も有ります。また将来利益を食いつぶして株主資本が減少すると予想される場合は、それを見越して株価が低くなり、結果現在の株主資本よりも割安に見える場合も有ります。要するに将来の株主資本の推移の見通しによって株価は変動してしまうので、現在の株主資本との比較だけでは単純に判断できない場合もあるのです。基本はPBRが1を超えれば株価は割高であると判断できますが、割高なのは将来性を見越しての部分もあるかもしれないという風に考えるといいでしょう。また逆にPBRが1を下回れば株価は割安で有ると判断できますが、将来の不安を懸念している部分もあるのではないかということも一緒に考えるようにするといいでしょう。

PBRは企業の株主資本の将来の推移という部分も考慮すべきですが、もう1つ土地や建物の含み益のことも考慮が必要です。以下のURLでも詳しく解説していますが、所有してある土地や建物に含み益がある場合は、それが貸借対照表上の株主資本には反映されないので、株主資本が過小に評価されてしまうという問題があります。株主資本が過小に評価されているので、PBRは本来よりも割高になってしまいます。株価が一株あたりの株主資本よりもかなり割高でPBRも高くなっている場合は、将来性だけでなく、土地や建物に含み益を抱えている可能性もあるのです。ちなみに土地や建物の含み損については減損会計により株主資本に反映されているの考慮する必要は有りません。

今回は住宅設備業界を対象に、2014年5月30日の株価を使ってPBRを計算し分析していくことにします。同時に所有する土地や建物の金額についても見ていきます。貸借対照表からは土地や建物の含み益の有無についてまではわかりませんが、PBRの数値が高くて土地や建物の所有金額が多い場合に、理由のひとつとして含み益の存在を疑うことができるので、一応確認しておくことにします。

PBRを求める際に使う自己資本は、貸借対照表の純資産の部から少数株主持分や新株予約権等を除去した金額を用います。

■今回使う指標
PBRについて



割安かどうかよりも将来性の判断材料

それでは各社のPBRを見てみましょう。

LIXILTOTOJK三和リンナイ
PBR1.331.830.601.522.11

PBRが1倍を超えているのはLIXILとTOTOと三和ホールディングスとリンナイの4社です。1倍を超えていると割高だということになりますが、株価が将来の利益拡大による株主資本の増加を見越しての数値だとすれば、この4社は将来性が買われているともいえます。5社の中でJKホールデョングスのみが1倍を下回っていて割安だともいえますが、株価が将来の利益成長の限界を感じていて株主資本の目減りを見越しての数値なのかもしれません。



土地と建物の含み益の影響の確認

すでに上記でも述べましたがPBRの数値が高い場合は土地や建物の含み益の影響を受けている場合もあります。そこで各社の土地、建物及び構築物の金額が自己資本と比較して何%になるのかを見ていくことにします。そもそも土地建物の金額が大きかったとしても含み益が有るかどうかはわからないのですが、PBRの数値が高くて土地や建物の所有金額が多い場合に、理由のひとつとして含み益の存在を疑うことができるので、一応確認しておくことにします。

LIXILTOTOJK三和リンナイ
自己資本617,289247,80627,878113,789220,787
建物及び構築物180,072
(29%)
50,035
(20%)
9,692
(35%)
17,734
(16%)
16,278
(7%)
土地188,662
(31%)
29,990
(12%)
35,540
(127%)
22,798
(20%)
15,140
(7%)
PBR1.331.830.601.522.11

TOTOや三和ホールディングスは土地と建物の合計が自己資本との割合で30%台とそれほど多くはないので、高いPBRは将来性の部分が大きいと考えられます。LIXILは土地と建物の合計が自己資本との割合で60%もあるので、高いPBRが将来性だけでなく含み益の影響による可能性もあります。リンナイは土地と建物の合計が自己資本との割合で14%ほどしかないので、高いPBRは将来性に起因するところが大きいと考えられます。



各社の財務データ(2013年・百万円)


LIXILTOTOJK
株価2,635円1,287円530円
自己資本617,289247,80627,878
発行済み株式数313,054,255353,962,59531,840,016
1株あたりの自己資本1,972円700円875円
建物及び構築物180,072
(29%)
50,035
(20%)
9,692
(35%)
土地188,662
(31%)
29,990
(12%)
35,540
(127%)
PBR1.331.830.60


三和リンナイ
株価693円8,920円
自己資本113,789220,787
発行済み株式数249,920,49752,216,463
1株あたりの自己資本455円4228円
建物及び構築物17,734
(16%)
16,278
(7%)
土地22,798
(20%)
15,140
(7%)
PBR1.522.11




※参考資料


売上債権・買入債務回転率で分析 || ROAで分析
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text 2014/06/01




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