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固定比率で分析




投資が過剰でないかを見る

今回は企業の安全性を見る指標である固定比率と固定長期適合率を使って企業分析を行っていきます。固定比率は企業の設備投資が過剰になっていないかどうかを判断する際に使われる指標のひとつです。今回対象とするのは花王やライオンなど生活用品を扱う業種の企業です。

■今回使う指標
固定比率



固定比率で分析

固定資産は流動資産とは違いすぐに現金化されるものではなく、長期にわたり投下資本が固定されるものです。そうした固定資産が返済義務のない自己資本の範囲内で納まっているのかどうかを見るのが固定比率です。しかしながら日本の企業の場合借入金により設備投資を行う企業が多く、そうなると固定資産に対して自己資本の比率が小さくなってしまうので、実際には固定比率が100%を超えているところも少なくありません。そこで固定比率が100%を超過した場合は、固定長期適合率というもう少し緩い基準の指標が使われます。今回はまずは固定比率を使って各企業を分析します。

花王ライオンユニチャーム小林製薬
固定比率90%111%99%55%
固定比率は100%を切っている企業自体がそれほど多くはないのですが、今回取り上げた企業は各社とも100%を割り込んでいたり、100%よりも若干多い程度に納まっている企業が多い結果となりました。なかでも小林製薬の55%というのは非常に優秀な数値だといえます。小林製薬ほどではないにしても各社の固定比率の数値は非常に良好です。



固定長期適合率で分析

固定長期適合率は固定資産が自己資本と固定負債の合計額に納まっているかどうかを見る指標です。長期に資金が固定される固定資産には返済義務のない自己資本と借入金であり返済義務はあるが、返済までに時間的猶予が有る固定負債でまかなうのが望ましいという観点から用いられます。この固定長期適合率が100%を超えてくると、固定資産が自己資本と固定負債の範囲に納まらないことになり、足りない部分は短期借入金の転がしで補うことになります。これは自転車操業に近い状態なので注意が必要です。固定長期適合率についても各企業について見ていきます。

花王ライオンユニチャーム小林製薬
固定長期適合率76%78%78%51%
今回取り上げた花王やユニチャームなどはすでに固定比率の段階で100%を切っているので、その時点で安全性は高く固定長期適合率まで見る必要はないのですが、ライオンだけは唯一100%を超えていたので一応固定長期適合率についてもみていきます。固定長期適合率については各社とも70%台と非常に低い数値に納まっており、安全性の面では問題ないでしょう。



固定資産の中身もチェック

固定資産に投資有価証券などの換金性の高い資産が多く含まれている場合は実際の固定比率よりも安全性は高くなります。また機械装置や備品が多い場合は年数を重ねるごとに減価償却により固定比率は改善していきます。では各社について固定資産の中身について見ていきます。

花王ライオンユニチャーム小林製薬
固定資産536,940126,547324,32662,753
機械装置及び運搬具72,751
(14%)
15,981
(13%)
79,177
(25%)
2,410
(4%)
工具、器具及び備品12,370
(3%)
1,111
(2%)
投資有価証券14,822
(3%)
28,564
(23%)
19,664
(6%)
37,891
(60%)
固定資産に占める機械や備品などの減価償却資産の割合はユニチャームが25%と他社よりも高くなっています。減価償却資産が多い場合、年数を重ねるうちに減価償却により固定比率はさらに改善していきます。固定資産に占める投資有価証券の割合は、まずライオンから見ていくと、23%と高いので実際の固定比率や固定長期適合率よりもさらに安全性は高いといえます。小林製薬に関しては投資有価証券が60%と半数以上を占めています。すでに他社と比べても高かった固定比率や固定長期適合率ですが、実質的にさらに安全性の高い固定資産の内訳となっていることがわかります。



各社の財務データ(2012年・百万円)


花王ライオンユニチャーム小林製薬
固定資産536,940126,547324,32662,753
機械装置及び運搬具72,751
(14%)
15,981
(13%)
79,177
(25%)
2,410
工具、器具及び備品12,370
(3%)
1,111
投資有価証券14,822
(3%)
28,564
(23%)
19,664
(6%)
37,891
(60%)
固定負債118,39047,28884,3067,757
自己資本596,083114,163329,201114,872
固定比率90%111%99%55%
固定長期適合率76%78%78%51%




※参考資料


流動比率・当座比率で分析 || 固定資産回転率で分析
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text 2013/12/28




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